株式会社メディカルノート
メディア事業部
Medical Noteは、2014年に現役の医師によって設立されたヘルステックベンチャーです。 「医師と患者をつなぐ」ことをビジョンとして、患者が迷いなく医師や医療機関を受診できるようにするためのサービスを展開しています。主要なプロダクトとして運営する医療情報メディアMedical Noteでは、現在医療課題を持つ1000万以上のユーザーを抱えており、専門医をはじめとした医療従事者の監修のもと、信頼できる医療情報を発信、そして症状に悩むユーザー向けの医療相談サービスを提供しています。今回はメディア事業の責任者である松岡様、そして現場担当の冨山様、前田様に、ビジネスのご状況やPtengineが支援させていただいている部分についてインタビューさせていただきました。
インタビューのポイント!
①コロナが引き起こした医療体制の激変。Medical Noteが利用者に対して背負うミッションとは
②開発リソースをメディア改善に割くことができない状況でPtengineがどのように活躍したか
③医療情報メディアだからこそ力をいれる行動ベースのパーソナライゼーションとは
Q. Medical Noteのミッションについて教えてください
Medical Noteは「医師と患者をつなぐ」というビジョンの通り、いかにデジタル上で患者様と医療機関・医師の接点をつくり、受診のハードルを下げるかというのが命題になっています。
コロナ禍で混乱する昨今、本来なされるべき受診・健診が控えられてしまっている「受診控え」が問題化されているように、さらに受診のハードルが高まっています。医療機関としても適切なタイミングで治療ができないほか、経営状況にも影響がでてきており、医療体制そのものに大きな影響を及ぼしています。
医療領域はこの1年間、コロナの影響により最も大きく変動した業界のひとつだと思っています。大きな変動要因としては、オンライン診療の条件付き開放が大きく、これをきっかけとしたLINEヘルスケアを始め多くの企業がデジタル×医療の領域に参入しました。しかし、オンライン診療は未だUIUX観点での課題も多く、市場が立ち上がりきっておらず、業界が一丸となって、デジタル×医療領域で一つでも多くの成功体験をつくる事が最も重要だと考えています。
コロナによってこれまで以上に、受診するユーザーの不安を取り除くことが重要な時代になってきています。我々メディアはヘルステックを推進し、受診の一歩手前の情報提供やメール相談といった、医師や病院に触れる部分をいかに手触りがある体験をデジタル上でつくれるかがユーザーに対する我々のミッションとなっています。
Q. デジタル×医療領域においての成功体験をつくるに差し当たり、どのような課題がありますか?
現在我々のサービスはMedical Noteというメディアに集約されています。今まさにユーザーと医療機関を繋ぐ取り組みをスピーディに実験していきたいフェーズであるに関わらず、開発リソース不足によってなかなか進めることができずにいました。
その要因の一つには医療機関向けのオンライン診療ツールの開発があります。2020年の3月にオンライン診療の条件付き開放の発表があり、6月に第一弾をリリース、さらに10月には第二段をリリースするなど、情勢の変化に伴い開発リソースをこちらに寄せていました。
一方で開発フローの課題も同時にあります。創業当初から大規模なシステム変更を行っていないため、ある程度レガシーな状態のWebサイトになってしまっており、簡単な誘導動線の実装でもさまざまな箇所で問題が出るというような事象が数多くありました。
このような状況もあり、メディアからの送患数を最も重要なKPIとして置いているにも関わらず、山ほどある施策リストは施策リストのまま動かない状況が続きました。この施策リストは、当時新卒の前田にKPI自体を預け、彼女が分析し考えてくれたものなので、なんとしても成果につなげてあげたいという気持ちもあり、彼女をはじめチームとして大きなジレンマを抱えていました。
Q. Ptengineは御社にとってどのような価値がありましたか?
これまではGoogle Optimizeを用いたABテストは行っていましたが、リッチなUIやコンポーネントを用いた検証を行おうとすると、どうしてもエンジニアによる実装が必要になり、リソース面での課題は払拭しきれず、また高速に検証プロセスを回す点においても満足のいくレベルで実施できませんでした。具体的には数ヶ月期間を設け、UI改善や仮説検証をメイン業務としたエンジニアをアサインし、ディレクターとタッグを組んで小さくリリースをする体制を構築しようとしました。ある程度施策の背景を理解した上で設計〜実装を行うチームは構成できたのですが、実際の実装フェーズで課題が発生する事が多く、思ったスピード感では施策をリリースできず、頭を抱えていたところでPtengineを提案いただきました。
トライアル利用をさせていただく中で、これまでエンジニアによる開発を必要としていた検証プロセスを非エンジニアのメンバーのみで行えるかどうかを検証しました。結果、求めていたフローや結果を得ることができ、高速に検証プロセスを回すことができると判断し、導入を決定しました。
今も施策を随時回しているのですが、簡単なものであれば1日、少々大掛かりなものでも1週間で企画から施策実施ができてきます。さらに想定外の効果として、学習コストが少ないという点があげられます。担当である新入社員の前田もトライアルで利用させていただいてから2〜3日で習得できました。UIの簡単さというところで非エンジニアの強い味方であるところを感じています。
また、実施した内容を本番環境に取り入れるという非常に効率的な新しい開発ワークフローを導入する事ができました。社内として工数がかなり改善されましたし、「作る前に失敗ができる」というのは大きな魅力だと感じています。
Q. スピーディに施策実行される中でどのような成果がありましたか?
具体的に実践した内容では、実際に疾患に悩まれる方に向け、医療相談例のポップアップを表示するABテストを実施しました。すると非表示の場合と比べ、23%もの改善ができました。こういった成果は施策ごとで出てきています。
より成果を出すための動きも出てきています。弊社では登録いただいた会員様の個人情報を保有しておりますが、個人のお悩みに直結するところですので情報の取り扱いには非常にセンシティブに考えております。Ptengineでもそういったデータを用いた施策ができることをご説明を受けておりましたが、そのことをお伝えすると、訪問者のとった行動による案内の出し分けをご提案いただきました。
どの記事を閲覧したかという情報とその訪問回数によって、どのようなことで悩まれているか、またどのくらい深刻に悩まれているのかといったことが想定できますし、またサイト内の検索クエリは非常に検索ユーザーの課題が特定しやすく、案内すべき内容を最適化することができます。
適切なコミュニケーションができるよう、まさに今医療を必要としているユーザーに対し、どんな情報やアクションポイントを案内すればより良いデジタル体験を感じていただき、患者と医師をつないでいけるかというところを、様々な施策により仮説検証を深めています。
Ptengineを使った施策検証の中ですでに見えてきたこととしてですが、ユーザーは初回のコンテンツへの訪問から長い時間をかけて検討をし、実際のアクションを起こしていた事がわかりました。 そのため、再訪問の促進や訪問回数によるユーザーターゲティングでの導線強化など、長い時間をかけてでも顧客をナーチャリングしていきたいと思っています。
一方で、医療に迷うユーザーの迷っている時間を短縮するのが私たちの使命でもあるので、 顧客のナーチャリング施策を強化すると共に、アクションをとるまでの時間を縮めるためにできる施策もPtengineを使って実行していきたいなと思います。