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【業界別事例特集Vol.1】マッチングWebメディアサイトでのパーソナライズ実践

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窪田 知昭

グロース/マーケティングチーム

2020年12月13日

この記事は約10分で読めます。

こんにちは!グロースチームのKubotie(クボティ)です。今回はマッチングWebメディアサイト全般の課題にさしあたって、Ptengineを使ってどのように分析したりパーソナライズ施策を打っていくべきかについて解説していきたいと思います。 

マッチングWebメディアサイトとは?

マッチングWebメディアサイトとは企業と消費者をマッチングするポータルサイトです。集客したい企業は自身のホームページでゼロからの集客するのではなく、「お部屋探しサイト」や「家電レビューサイト」など、すでに同じ課題をもった顧客を多く集客しているプラットフォームを利用して情報掲載し、ユーザーと企業がマッチングすることによる手数料で収益化しているサイトです。不動産、旅行、医療、小売のレビューサイトなどが挙げられます。

 

1-マッチングWebメディア全般の課題 

マッチングWebメディアでは、主に三つの課題があります。それは集客、Web体験、そして送客(コンバージョン)です。その中でも特に現在課題の中心となっているのはWeb体験と送客です

マッチングwebメディアでは、膨大なコンテンツがバラバラに配置され、ユーザーが興味のあるコンテンツを探すのが大変困難です。しかし、ユーザーが自分の好みにあったコンテンツが多数あることに気づけば、一度のみならず、何度も訪れることになると思いませんか?

引越しを予定している時に、自分が住みたい条件の物件情報がたくさん並んでいるサイトは空き時間の許す限り見るでしょう。

新しくカメラを買おうとした時に、良い評価、悪い評価がバランスよく散見され、具体的なレビューが多数確認できるレビューサイトを何度も訪れるでしょう。

このようにマッチングWebメディアにおいてはサイト利用を定着させるWeb体験が非常に重要です。

送客の面ではCTAの設計が非常に重要です。体験がよくなり接する時間が増えても最適なタイミングでCTAが想起または出現しなければマネタイズにいたりません。

今回は医療、不動産、人材ポータルサイトを例に、これらの課題に対してパーソナライズでの解決方法についてご紹介したいと思います。 

事例①医療系専門ポータル

医療サイト関連の典型的な課題

1.情報の最適化 – 医療専門サイトは身体についての悩み(疾患)をもつ人が多く訪れますが、主に自身に関連する特定の分野の記事に興味があり、そのほかの記事に興味が向くことはほとんどありません。
 
2.サービスへの連結 – 本質はメディアサイトなので、記事コンテンツが多く存在しますが、コンバージョンまでのストーリーがなくてはコンバージョンしません。訪問者が記事の価値を認識したらサービスへと繋がるまで一貫した体験をユーザーに提供する必要があります。 

Ptengineでの解決アプローチ 

今回の紹介する事例は、医師が監修した記事をメディア化し医師と患者のマッチングをする医療系専門ポータルサイトです。がんや心臓疾患などの症状や対処法などをはじめとした記事を医師と連携の上掲載しています。今回は「医師と相談」というコンバージョンポイントに沿ったユーザー体験を向上させたいと考えていました。 

①コンバージョンボタンの表示の調整 (UX改善)

前述の通り、記事での集客をメインとしているため、「記事閲覧」→「問題意識の成熟」→「コンバージョン」というステップが必要ですが、記事コンテンツを読みにきたユーザーにとっては「直接医師と相談できるメディアである」ということは意識せずに読んでいるという仮説を立てました。

ux改善ではユーザー視点から問題を発見しなければなりませんが、価値の高いコンテンツでも効果の出にくいレイアウトや配置ではいけませんので、Ptengineのヒートマップの機能を使った上でクリック率や到達率など具体な数値を把握し、仮説を検証しました。

実際にユーザーのサイトを見てみると、目標コンバージョンポイントへつながる“受診について相談する”というボタンは12%ほどの到達率しかありませんでした。さらに9000程のPVがあるページでしたがクリック数もゼロ。ほとんどの訪問者はそのボタンを意識することができなかったことが想定されます。 

ヒートマップによる仮説分析(CTA : Call to Actionの略で主に優先順位の高い誘導ボタン)

どんなに記事がよく、見込み顧客を多く集客できていても、レイアウトの問題で多くの損失を生んでしまいます。

そこでPtengine Experienceを使い、二つのUX改善施策を提案しました。一つは固定バー(画面下部固定)で医師への相談CTAを追加すること。二つ目は、CTAをより読了ポイントに近い場所で追加することです。固定バーでは、よりサイトのサービスの立ち位置(閲覧者にとって提供できる価値)を明確にすることができます。そしてCTAをより近くに置くことによって、態度変容が起きやすい読了段階でアプローチをより円滑にすることができます。

②より深く悩んでいる訪問者をターゲティングしてパーソナライズ

パーソナライゼーションを考えるなら、ユーザーの関心はクリックという動作で判別することができます。例えば、”風邪” に関するサイト内の記事を5回読んだことがあるとしたら、その”風邪” という症状について関心がある(課題が大きい)と推測できます。今回は医師への相談というサービスの利用率を上げるというニーズを考えた上、まず記事を症状によってカテゴリー化し、症状別の閲覧数によってユーザーをグループ化します。

Ptengine Experienceのモジュールで、カテゴリー別での関心度によってユーザーグループを作成し、特にその症状を専門とする医師への相談フォームボタンのポップアップ表示を提案しました。つまり、今回はユーザーグループを利用して、特定の症状に興味はある(悩んでいる)が、相談はまだしたことがない訪問者にポップアップで相談へ誘導するプランです。

 

Ptengine Experienceで特定の症状に悩みがあり、まだ医師に相談したことがない人への相談誘導を行う

③見込み度によってコミュニケーションの頻度を変える(パーソナライズ)

パーソナライズ施策をさらに一つ検討しました。それはユーザーの見込み度に合わせた表示頻度でユーザー体験を最適化という施策です。例えば訪問者をレベル分けした場合、医師への相談を完了した訪問者をランク5とします。そこに至るまでに、記事読了、複数記事閲覧、ウェビナー参加、フォーム到達といったところでランクを分け、その段階に応じて頻度を変えることでメッセージ内容と、その頻度を変えることで体験を最適化することができます。

ランクに応じたユーザーグループを作成しパーソナライズ

これもユーザーをグループ化することで実施可能です。各グループごとに配信回数、頻度、メッセージ内容を調整します。具体的に言えば、すでにコンバージョンしたユーザーを除いたランクの高いユーザーグループに対してはよりコミュニケーションの回数を増やし、ランクの低いユーザーグループにはコミュニケーションの回数(配信)を減らします。これでより高いランクにいるユーザーには深く説得(ナーチャリング)でき、低いランクのユーザーには閲覧を阻害せず体験を損なう心配がありません。

事例②不動産専門ポータル

不動産関連の課題 

関心の高いコンテンツを厳選 – 不動産専門ポータルサイトは主に賃貸と売買二つの側面があります。さらに、対象物件の地域、金額、設備など、様々な軸があり、それぞれニーズが違うため、よりパーソナライズされた情報の提供が必要となります。 

Ptengineでの解決アプローチ 

問い合わせ数を増やすため、ポップアップや検索フォームを利用し、まず訪問者のニーズを取得します。そして、そのニーズを元に、サイト回遊時に相応しい内容を提供します。例えば、ポップアップで地域や希望金額を取得します。ユーザーは入力の上ボタンをクリックすることで、次の画面ではそのエリア、金額帯の物件リストを表示します。これにより、ニーズの情報取得が可能です。

Ptengine Experienceで情報を紐付けるフォーム作成

この入力データや閲覧履歴のデータを利用することでパーソナライズしたコンテンツの提供が可能となります。ユーザーのニーズをベースとして、ユーザーをグループ化し、グループ毎にパーソナライズしたオススメコンテンツが提供するのですが、これにより各ユーザーが欲しているページが届けられるようになり、利用定着化を促進することができます。

閲覧履歴から好みに合わせた物件紹介

また、送客を促進するアイディアも多くあります。例えば、「今日このページを閲覧した人は34人います。」といったものや、「現在この物件への問い合わせは3件あります。」という文言を表示し、焦る感情によって問い合わせを促進するアイデアです。Ptengine Experienceのクリエイティブ作成機能で動的にサイトの情報を広い、このような情報を組み込んだクリエイティブを作ることができます。 

事例③人材サービスサイト 

人材サービスサイト関連の課題 

離脱防止 – 人材サービスサイトでは、気に入った求人を探し当てることができなければ、2回目の訪問をする確率は極端に低くなります。初回の訪問でいかに価値を感じ、簡単アクションをとってもらえるかが非常に重要です。 

Ptengineでの解決アプローチ  

訪問者にサイト利用の価値を感じてもらいましょう。まず初回訪問する方の希望勤務地、職種、年収などの条件情報を検索フォームやポップアップで収集します。

勤務地や希望情報を選択した後に出るナビゲーション例
(Ptengine Experienceで作成)

情報が取得できれば、ユーザーが考えている希望の業界や年収のレンジ、勤務地などによって、マッチングを促進する求人を宛てることができます。
また、なるべく情報を集めることで、ユーザーが思い描くワークライフを実現できそうな求人票を紹介できます。

入力した勤務地などの情報を利用して施策

もちろんこれだけではなく、ユーザーのニーズや訪問者のリアルタイムの行動で最適な顧客体験内容を提供しましょう。 

人材サービスサイトは特に一度求人票に対して簡単なアクションをとってもらえれば、定着率は高まります。

そのポイントを見つけることは第一歩で、そして各段階ごとに役に立つ上記のアドバイスのような内容をユーザーに提供すれば離脱も少しずつ解消できるはずです。


今までの全てをまとめますと、マッチングサイトそのものは非常に多くの情報をサイト内に保持しているため、訪問者が目的の情報に早く辿り着く、すなわち価値を感じてもらうことが非常に重要です。今回はマッチングサイトに対してPtengineのサービスを実際にどのような考え方でアプローチしていけば良いかを解説しました。また別の業界でも取り上げて参りますので是非チェックしてください。

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