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ライブコマースが変えるショッピング体験!日本と世界の成功事例を徹底解説

2025年04月07日

この記事は約12分で読めます。

ライブコマースの定義と重要性

ライブコマースとは、ライブ配信を通じて商品を紹介し、視聴者がリアルタイムで商品を購入できるECの手法です。中国をはじめとする海外市場ではすでに主要な販売チャネルの一つとして確立されており、日本でも注目が高まっています。

従来のECサイトと異なり、ライブコマースは配信者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションを取りながら購買体験を楽しめることが大きな特徴です。

日本市場での成長背景

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海外に伴い、日本でも、SNSの利用拡大により、ライブ配信を活用したマーケティングが急速に広がっています。楽天ライブ、メルカリShops Live、LINE LIVEショッピングなど、国内企業も次々とライブコマース市場に参入し、試行錯誤を重ねながら定着を目指しています。

エンタメ化するECの潮流

近年、ECは単なる「買い物の場」から、「楽しむ場」へと進化しています。ライブコマースでは、インフルエンサーやブランド担当者がエンターテイメント性のある配信を行い、視聴者の興味を引きつけながら商品を紹介します。

例えば、ゲーム要素を取り入れた視聴者参加型のキャンペーンや、限定セール、ストーリー性のある商品紹介など、従来のECにはなかった「ワクワクする体験」が重要視されています。このようにエンタメ要素をと入り入れ消費者の購買意欲を刺激するような戦略は求められています。

ライブコマースの最新トレンド4選

1. インフルエンサーの起用で視聴者からの信頼を獲得

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近年のライブコマースでは、インフルエンサーやクリエイターによる配信が非常に人気でトレンドとして注目されています。

特に、SNSで人気のインフルエンサーが商品のレビューやPRを行うライブ配信は、視聴者からの信頼を得やすく、購買意欲を高める効果が期待できます。実際にインフルエンサーが元々愛用している商品やサービスであれば、視聴者に親近感を与え、購入につながりやすくなる可能性があります。

一定層に強い影響力:マイクロインフルエンサーの拡大

インフルエンサーの種類と特徴

さらに、今後はフォロワー数1万人〜10万人規模のマイクロインフルエンサーの起用が増えると予想されています。彼らは特定のコミュニティやファン層に強い影響力を持っているため、ニッチな市場にも効果的にアプローチすることが可能です。そのため、ターゲット層に適した商品を紹介することで高いエンゲージメントが期待できます。

トップより“身近な声”が響く!成功事例に学ぶマイクロインフルエンサー活用術

Sperryが起用したマイクロインフルエンサーのInstagram

Sperry(スペリー)は、マイクロインフルエンサーをいち早く活用したことで知られる老舗のボートシューズブランドです。2016〜2017年の雨の多い季節に、すでにSperryの靴を愛用していたInstagramのマイクロインフルエンサー100人とコラボし、自然でリアルな投稿を促進しました。

その結果、Instagramからのウェブサイト訪問が66%以上増加し、470万回以上のインプレッションを獲得することに成功しました。実際に雨の中や水辺で靴を使っている様子が、ファッションと機能性の両立を感じさせ、多くの人に共感されたのです。

そのため、ターゲット層が明確化されているニッチな商品の場合は、トップやマクロインフルエンサーなどの有名人よりも、マイクロインフルエンサーの方が効果的なケースもあることがわかりました。

2. ショート動画の活用

インスタグラム上のショート動画

TikTokやInstagramのリール動画などのショート動画プラットフォームは、近年のライブコマースにおいて重要なトレンドとなっています。短い時間で視聴者の関心を引きつけ、商品の魅力を簡潔に伝えられるショート動画は、ライブコマースとの相性が抜群です。

さらに、ライブ配信のハイライトを切り抜き、ショート動画として再利用することで、より多くのユーザーにリーチを広げることが期待できます。

3. ブランド独自のライブコマースプラットフォームの台頭

UNIQLO独自のライブコマースプラットフォーム「UNIQLO LIVE STATION」

近年、SNSの活用だけでなく、ブランドが独自のライブコマースプラットフォームを構築する動きが加速しています。自社のECサイト上でライブ配信を行うことで、視聴者をスムーズに購買へと導くことが可能になります。

さらに、外部プラットフォームに依存せず、消費者の購買行動や視聴傾向などの詳細なデータを直接集めることができるため、より効果的なマーケティング戦略の立案にもつながります。

4. オンラインとオフラインの融合(OMO)

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また近年ではオンラインとオフラインを統合した購買体験、いわゆるOMO(Online Merges with Offline)の風潮がライブコマースにも見られるようになってきました。

たとえば、実店舗でのショッピングの様子をライブ配信し、視聴者が自宅にいながら店頭で商品を選ぶような感覚を楽しめる仕組みがあります。オンラインショッピングの便利さとオフラインならではの体験価値を融合させることで、より魅力的で新しい購買体験を提供できるようになってきています。

日本と海外のライブコマース成功事例7選

1. プチプラ下着専門店DRWのインスタライブ活用術:限定クーポンでエンゲージメントを強化

プチプラ下着専門店DRWのインスタグラム

ランジェリーの通販サイト 「プチプラ下着専門店DRW(ドロー)」 は、Instagramを活用したライブコマースを積極的に展開しています。特に、毎週火曜と木曜に定期開催されるインスタライブ では、視聴者限定のクーポン番号をリアルタイムで公開し、購入を促進する工夫がされています。

さらに、月に2回のプレゼントキャンペーン も実施。ライブ配信中にコメントを送ることで参加できる仕組みになっており、視聴者との双方向のコミュニケーションを強化しています。

このように、ライブ配信を活用して 特典を提供しながらエンゲージメントを高める戦略 は、ユーザーとのつながりを深める効果的な手法といえるでしょう。

2. 発売開始15分で即完売!インフルエンサーももちの遠隔接客

Youtube Liveを使用して自身のブランドの生配信をするももち

若者から絶大な人気を誇るインフルエンサー「ももち(牛江桃子)」は、自身のアパレルブランド「Lil Ambition」のライブコマース配信を実施しています。第一弾商品のInstagramライブ配信では、販売開始後わずか15分でウェア全商品が完売しました。

また、アーカイブ動画がInstagramのリールとして投稿されており、ライブコマースを一度の配信で終わらせるのではなく、継続的な効果やリーチの拡大につなげる仕組みが構築されています。

3. UNIQLO LIVE STATION: 1000万人が視聴するライブコマースの成功例

2020年に株式会社ユニクロは「UNIQLO LIVE STATION」というライブコマースを開始しました。配信中にはユーザーの好みにあったコーディネートを見つけることができるサービスのStyle Hint Staffやスタイリストによるファッションのポイントを聞くことができます。

ライブ配信のため、配信中に気になったことがあればすぐに質問することができます、そして、視聴しながら気に入った商品をECサイトやアプリ内で直接購入できます。結果的に「UNIQLO LIVE STATION」の日本国内年間累計視聴者数は、1000万人を突破し、順調に人気を集めています。

4. AOKI:オリンピック公式スーツが2万枚販売の大ヒット

青木のライブコマース

第32回オリンピック競技大会(TOKYO 2020)のオフィシャルサポーターであるスーツブランドAOKIは、2020年にライブコマースを開始しました。

「東京2020オリンピックエンブレムストレッチウォッシャブルスーツ」は、オリンピック開催前と比較して約1.2倍の売上増を記録し、累計販売数は2万枚を突破しています。

さらに、ライブコマースが発達している中国市場に向けて、中国語での商品紹介も行い、海外展開にも積極的に取り組んでいます。このように、店舗での購買に近い体験をキープしながら、場所を選ばず海外に市場を展開することも大きなメリットです。

海外のライブコマース成功例

5. トリップドットコム:コロナ禍を逆手に46億円の取引総額を達成

タイからの生配信の様子

トリップドットコムは、世界最大級のオンライン旅行会社Trip.comグループが提供するワンストップ旅行プラットフォームです。当時コロナ禍による売上減少への対策として、ライブコマースを活用し、半年から1年先まで利用可能な前売り旅行券を販売しました。

中国の日常生活に欠かせないチャットアプリWeChatのミニプログラムを利用し、ライブ配信を通じてホテルの前売り券を販売する取り組みを開始しました。

各回のライブ配信では、異なる開催地から配信を行い、視聴者に現地の魅力やホテルの特色を紹介しました。これにより、視聴者は自宅にいながら旅行気分を味わい、将来の旅行計画を立てるきっかけを得ることができました。

ライブコマースの効果:

  • 累計取引総額の増加:2020年3月から5月にかけて実施された計9回のライブ配信で、累計取引総額は約46億円に達しました。
  • 視聴者数の増加:2020年5月13日の配信では、1時間の生配信中に200万人のユーザーが視聴し、87万人が「いいね!」やコメントで反応しました。
  • 販売実績の向上:特定のホテルでは、放送開始から数分で数千室のパッケージが完売するなど、高い販売実績を記録しました。

さらに、Trip.comは日本市場向けにもライブコマースを展開し、2020年7月14日に実施されたライブ配信では、一晩で約7,360万円の売上を達成しました。この配信では、日本国内の高級ホテルや旅館の宿泊プランを最大82%割引で販売し、多くの視聴者の注目を集めました。

このように、Trip.comのライブコマース戦略は、旅行業界における新しい販売手法として成功を収め、他の企業にとっても参考となる事例となっています。

6. Walmart:TikTok活用でフォロワー急増&400商品を即購入可能に!

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アメリカに本部を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンであるWalmartは、「Walmart Shop Live」を通じて、提携ブランドによるライブ配信を実施しています。ライブコマースでは、Walmartで取り扱う400点以上の商品をその場で購入可能です。

さらに、ライブストリームショッピングプラットフォーム「TalkShopLive(トークショップライブ)」と提携し、視聴しながらスムーズにWalmartの商品を購入できる導線を整備している点が特徴です。

また、TikTokを活用したライブコマースにも成功しており、ホリデーシーズンのショッピングイベントでは、配信によるプロモーション効果で多数のフォロワー獲得にもつながりました

Walmart×TikTokライブコマースの成功要因

Walmartのブランドキャンペーン
  • クリエイターとの協働によるコミュニティ形成: Walmartは、TikTokの「Branded Mission」機能を活用し、クリエイターが「#IYWYK(If You Walmart, You Know)」というハッシュタグを用いて、Walmartでのショッピング体験やお得な情報を共有するキャンペーンを展開しました。これにより、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を促進し、コミュニティとのエンゲージメントを高めました。
  • 効果的な広告フォーマットの活用: キャンペーン開始時に、TikTokの「TopView」広告を使用し、アプリ起動時に最初に表示される広告枠で視認性を確保しました。これにより、キャンペーンの認知度を迅速に向上させました。
  • ユーザー参加型のコンテンツ戦略: クリエイターが自身のフォロワーに向けてWalmartの商品やショッピング体験を紹介することで、視聴者の共感を得るとともに、他のユーザーも同様のコンテンツを投稿する動機付けとなりました。その結果、キャンペーン関連の動画が700本以上作成され、20%のエンゲージメント率を達成しました。

7. ブラジル発アパレルブランドPatBO:NYファッションウィークで売り上げ300%増

PatBOは、ブラジルの女性向けファッションブランドで、ニューヨークファッションウィーク中のライブショッピングイベントでEC売上が300%増加するという驚異的な成果を達成しました。

2024年9月9日にデジタルコマースプラットフォームを提供するVTEXと協力し、同ウィークのランウェイから直接Summer 2024コレクションを配信。視聴者は9,000人以上に達し、配信中に商品を即購入できる初の試みとして注目を集めました。

この20分間のライブ放送では、16,000件の「いいね!」と1,000件以上のコメントが寄せられ、ブランドの影響力と顧客ロイヤルティの強化に貢献しました。

結果として、Eコマース売上高が前年同期比で300%増加し、平均注文額が79%、注文数が125%それぞれ増加しました。ライブコマース配信により、視聴者にリアルタイムの臨場感と限定感を提供し、購買意欲を大きく高めることに成功しました。

2025年はライブコマース元年?

ライブコマース業界を牽引するCellestの代表取締役・佐々木宏志氏は、2025年を「ライブコマース元年」と位置付けています。その理由として以下の4つを挙げています。

  • ライブコマーサー(配信販売者)の増加 体験型購買志向の高まりにより、ライブコマーサーの需要も増えています。そのため、企業がライブコマース専門の部署を設け、知名度のあるインフルエンサーがライブコマースに参入する動きが活発化。

    例えば、花王株式会社は2022年1月にライブコマース専門部署を設立し、化粧品ブランドにおけるライブコマースを推進しています。
  • 視聴者数の増加 通信環境の発展と動画視聴文化の成熟により、ライブ配信の視聴者が飛躍的に増えている。 株式会社Cellestが2024年に実施したアンケート調査によると、ライブコマース視聴者の年齢層が拡大し、特に55歳以上の利用者数が前年の約2倍に増加したことが明らかになりました。

    さらに、視聴者の86.9%がECモールを利用しており、ライブコマースがEC利用者にとって身近な存在であることが示されています。 これらの結果から、ライブコマースは単なる購買活動だけでなく、商品知識の獲得やお得感といった体験を通じて、より多様なユーザー層に受け入れられていることが分かります。
  • ライブコマースの認知度向上 「ライブコマース」という言葉が一般化し、ユーザーの購買スタイルの一つとして定着しつつあります。
  • ショッピングのエンタメ化 ライブコマースは単なるECの延長ではなく、視聴者が没入できる新しいエンターテインメントとして進化。

終わりに

ライブコマースは、単なる「動画で商品を紹介する」だけではなく、視聴者とのリアルタイムな交流を通じて、実際に店舗に訪れているような感覚でショッピングができるという利点が大きいです。

特に、日本市場では、これから本格的に成長が期待される分野であり、企業にとっては今後のマーケティング戦略に取り組むべき重要な要素となり得ます。

成功するためには、ターゲットに合った配信プラットフォームの選定、インフルエンサーやブランドの信頼性、そして視聴者とのコミュニケーションを重視することが不可欠です。成功事例を参考にしながら、日本市場に適したライブコマース戦略を構築することで、新たなビジネスチャンスを生み出せる可能性が広がります。

参考文献

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