blog»ブランド・マーケティング»ライブコマース成功の鍵5選:「買う」から「楽しむ」!商品よりも体験が売れる時代へ
2025年04月14日
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前回の記事では、ライブコマースの定義や成功事例をご紹介しました。今回は、ライブコマースをさらに効果的に成功させるためのポイントと注意点を解説します。
ライブコマースは、ECショッピングを単なる「買い物」の場からエンタメ性を追求する場へと進化しています。この進化を実現するためには、どのような工夫が必要か、そして消費者をコンバージョンへと導くための具体的なステップについて掘り下げていきます。
この記事では、エンタメ性のあるライブコマース配信を実現するための重要なTipsを5つご紹介します。
ライブコマースは、単なる「商品紹介」の場ではなくなりつつあります。特にSNS世代のユーザーにとって、動画を見る時間は“情報収集”だけでなく、“暇つぶし”や“娯楽”としての役割も大きいものになってきています。
そのため、視聴者が「楽しめる」「飽きない」仕掛けを取り入れることが、ライブ配信の視聴維持率やエンゲージメント向上に直結します。
ただ一方的に説明するだけでは、視聴者はすぐに離脱してしまいます。エンタメ性のある演出やコミュニケーションがあることで、「もっと見ていたい」「この人から買いたい」という心理的な距離の近さが生まれ、購買行動につながりやすくなります。
中国ではライブコマースが日常化しており、タレント性のある配信者がドラマ仕立てで商品を紹介したり、ギフト機能でファンとの交流を強めたりと、まさにエンタメ×コマースの融合が進んでいます。
欧米でも、人気YouTuberやセレブリティが視聴者参加型のライブ配信を行い、「体験共有」の文脈で購買を促しています。
対して他国に比べてライブコマース市場が拡大されていない日本では、まだライブコマースへの心理的ハードルが残っているのが現状です。
そのため、過度な演出よりも“信頼感”と“親しみやすさ”を軸にしたエンタメ要素が求められます。
例えば:
エンタメ性のあるライブ配信には、以下のような効果があります:
ライブコマースの成功を左右する最大の要素の一つが、「誰が配信するのか」です。
どれだけ魅力的な商品であっても、配信者が視聴者の心をつかめなければ、視聴維持率、CVRを伸ばすことは非常に難しいです。
そのため、視聴者に親近感を抱かせるような“リアルな存在”を配信者として起用することが重要です。中でも、芸能人のような大物ではなく、等身大の視点で発信できるインフルエンサーや、商品理解が最も深い社内スタッフは、有効な選択肢として注目されています。
ここでは「インフルエンサー」と「社内スタッフ」という2つの代表的な選択肢を比較しつつ、配信者選びで重要なポイントを解説します。
社内スタッフはあくまで本職がマーケティングや商品企画などのプロ。配信や話術のプロではありません。そのため、配信フローやセリフの事前準備をしっかり行い、スライド・商品構成・カンペなどを用意しておくことが成功の鍵です。また、リハーサルを1〜2回行って本番に挑むことが必要になってきます。
ライブコマースの価値は単なる売上だけでなく、「ファンを育てる・ブランドを語る体験」にあります。社内スタッフはその最前線に立てる“リアルなブランドの語り手”です。
一方で、前述したように事前の準備やトレーニングが不可欠なのも事実です。そのため、継続的にライブ配信を行うことを視野に入れた場合。外部パートナーなどと連携しながら、スタッフの負担を軽減する仕組み作りも並行して行っていくことが重要です。
誰を起用するにしても、配信者選びで絶対に外せないのがこの3点です:
ライブコマースでは、「最後まで見たくなる」「思わず参加したくなる」ような企画を仕込むことで、滞在時間やコメント数、最終的な購入率を大きく引き上げることができます。
ここでは、視聴者を惹きつける企画の3つのポイントをご紹介します!
ライブの醍醐味は、「今見ている人だけが体験できる」という特別感。そのためそのような心理を刺激するような限定的な企画を行うことでさらに購買動機に紐づけることができます。
たとえば
このような参加型の企画を仕込むことで視聴者の「参加したい」「LIVEをもっと観た方がお得かも」などの気持ちを引き出すことが可能となります。その結果、コメント数が増加 → 配信の活性化 → 滞在率UP → CVR改善という好循環が生まれます。
商品の紹介は、ただスペックを読み上げるだけでは不十分です。視覚的・感情的に「欲しい!」と思わせる構成が大切です。
「実際どう使えるの?」「効果はどのくらい?」という視聴者の疑問に即答するライブならではの構成を意識しましょう。
どんなに内容がよくても、見てもらえなければ意味がありません。事前の仕込み・宣伝にも戦略を持つことが重要です。
「どこで買えばいいかわからない」を防ぐことで、CVへのスムーズな導線が作れます。
ライブコマースにおける最大の利点は、視聴者とのリアルタイムなコミュニケーションが可能であることです。この「双方向性」をいかに活かせるかが、配信の熱量やCVRを大きく左右します。
コメント欄は、視聴者の「今知りたい」「今伝えたい」気持ちが溢れる場所。たとえば「これってサイズどのくらい?」「実際に使ってどうでしたか?」といった質問に対し、その場で即回答できることがライブ配信の大きな魅力です。
視聴者の声にしっかり耳を傾け、反応を拾いながら展開することで、「自分のコメントが読まれた!」という参加感が高まり、視聴維持率や購入意欲にもつながります。
コメントの活発さは、配信の“盛り上がり”を可視化する重要な要素です。
チャット欄が盛り上がっていると、新たに視聴し始めたユーザーにも「この配信、なんか楽しそう」と感じさせ、離脱率の低下やCVへの間接的な貢献が期待できます。
また、コメントによって浮かび上がる視聴者のニーズや不安をその場で解消できるため、CVRの最大化に直結するのです。
コメント対応を重視するあまり、配信が予定から大きく逸れてしまうことも。
そのため、事前にトークの大まかな構成やタイムスケジュール(スクリプト)を作成し、進行の軸を保つことが重要です。とはいえ、スクリプト通りに話すだけではライブの良さが失われてしまいます。
「視聴者の質問にはなるべく即時対応する」「商品の紹介中でも反応が多い部分は深掘りする」といった“柔軟なアドリブ力”とのバランスが求められます。
視聴者が「欲しい」と思った瞬間に、迷わずスムーズに購入まで進める導線設計ができているかどうかは、CVRを大きく左右します。ライブ配信に熱中している視聴者の“購買意欲のピーク”を逃さないために、タイミング・配置・UIのすべてを戦略的に考える必要があります。
ライブ配信中に「今だけ限定○○%OFF」「先着○名にクーポン配布」といった限定性を演出することで、購買行動を強力に後押しできます。とくに視聴数がピークを迎える中盤〜終盤に仕掛けると、離脱防止とCVR向上の両方に効果的です。
さらに、事前にSNSなどで「ライブ中にシークレットクーポンあり」などと予告することで、視聴誘導にもつながります。
どれだけ魅力的な紹介をしても、「買いたい」と思った瞬間に購入ボタンが見つからなければ、一気に熱量が下がってしまいます。
ライブ画面上に常にCTAを分かりやすく表示しておく、もしくは「今すぐ買う」などのボタンをコメント固定や画面下部に配置することで、ストレスフリーな購入体験を設計しましょう。
また、価格や在庫の状況をリアルタイムで表示するなど、購買を促す情報とCTAをセットで見せる工夫も有効です。
ライブ視聴中のユーザーは、エンタメ感や情報収集を楽しみつつ、「ながら見」しているケースが多いため、購入までの導線はシンプルさが命です。
たとえば、視聴画面から1〜2タップで決済画面へ進めるUI設計、ログイン不要のゲスト購入対応、主要決済手段の網羅など、購入ハードルを極限まで下げる工夫が求められます。
加えて、購入後の動線も忘れずに。「ほかにもおすすめ商品を見る」などの回遊およびリテンションの設計をしておくことで、LTV向上にもつながります。
ライブコマースは配信して終わりではなく、「配信→分析→改善→再実行」のサイクルを回すことで、回を重ねるごとに成果を高めていくことができます。感覚や経験だけに頼らず、具体的なデータを根拠に改善を積み重ねることがCVR向上に直結します。
まず押さえておくべきは、以下のような基本指標です:
たとえば、離脱率が急上昇するタイミングは、トークが単調になったり、商品説明が冗長だったりする箇所かもしれません。逆に、コメントが一気に増えた箇所は「視聴者の興味が高まったタイミング」であり、演出や商品の紹介方法のヒントになります。
・配信時間帯による成果の違い(例:平日20時〜22時は視聴率が高い)
・特定カテゴリの商品はCVRが高いが、離脱率も高い
・クーポン演出直後に購入が集中していた など、
ひとつひとつの施策が「結果としてどう影響したか」をデータで振り返ることが、次回配信の精度を高めます。
また、インフルエンサー起用時と社内スタッフ配信時での違いも比較することで、ブランドにとって最適な配信スタイルが見えてきます。
データ分析をもとに、以下のような改善策を設計します:
また、回を重ねるごとに蓄積される視聴者の傾向データ(興味分野、反応しやすいワードや演出など)を活用し、次回配信の台本や演出案にフィードバックすることで、より“当たる”配信に近づけていけます。
ライブコマースの成果を最大化するには、何がうまく行ったか、何がうまくいかなかったかを客観的に把握し次のプランニング+アクションに繋げることが必要不可欠です。
ライブ配信をインフルエンサーや外部に丸投げしてしまうと、ブランドミッションとのズレが生じるリスクがあります。そのため、ブランド側が事前に「何をどう伝えて欲しか」などの明確に台本や進行も一緒に設計する必要があります。
ライブコマースはお得間を打ち出す施策が有効ですが、割引やタイムセールをしすぎると、「安売りのブランド」という印象が定着してしまう危険性もあります。そのため、価格で勝負するのではなく、価値・体験・ストーリーなどを伝えること大切です。
通信環境の不備、UIや決済機能の不具合、段取りミスなどの運営上のトラブルがそのままCVRの低下やブランド信頼の喪失につながることも。ライブ配信は“リアルタイム性”が強みである分、一度のミスが致命傷になりやすいのが特徴です。
事前の入念なリハーサル、配信機材やネット環境のチェック、スムーズな購入動線設計など、「技術」と「体験」を両立させる準備体制がカギとなります。
ライブコマースは、単なる商品紹介を超え、エンタメ性を取り入れることで視聴者の関心を引き、購買行動へと繋がる力を持つ新しいマーケティング手法です。エンタメ性を加えることで、視聴者の滞在時間を延ばし、コメント数や購入意欲を高めることが可能です。
成功するためには、ブランドに適した配信者を選ぶことが最も重要です。インフルエンサーや社内スタッフといった配信者選びにおいては、商品の親和性、信頼性、トーク力がカギとなります。また、視聴者が最後まで楽しんで参加したくなるような企画作りも大切です。
日本市場においては、過度な演出よりも親しみやすさと信頼感が重視される傾向があります。これを踏まえて、視聴者とブランドとの距離を縮め、エンタメ性を楽しみながら購買意欲を刺激するライブコマースの実施を目指しましょう。
参考文献